笹島喜平「不動明王」(52)
本作品のすばらしさは、「拓刷り」と呼ばれる技法にあります。
「拓刷り」は、凸版技法の一つで、凸のある版に紙をあてて、その上から墨を直接押し当てることで、
版となる素材の凸部の文様や図柄を写し取る摺刷方法です。
(WEB画面で、その迫力をお伝えしきれないのが残念です)
益子出身の笹島は、益子で活動していた濱田庄司を介して
版画の巨匠・棟方志功のもとに弟子入りをしました。
いずれの作家も、所長の好きな作家たちですが、
笹島―濱田―棟方という、当時の工芸・民芸をめぐるゆるやかなネットワークに
思いをはせる、そんなお気に入りの作品の一つです。
(2009.11.10)