コミュニティ・ビジネスはかつて町にあった経済力を取り戻すことも可能なビジネスであり、ローテクで労働集約的な協業的なビジネスでもある。だからこそ工夫次第で働く場を社会的弱者にも提供できるのである。
長野市信州新町のNPO法人ふるさとのような冠婚葬祭業は、衰退した商店街の商店主たちの2足目のワラジから立ち上がって行ったコミュニティ・ビジネスであり、その売上高は年間で1億円を超えるまでに成長している。創業してからすでに十数年が経過し、地域から信頼感を得ているが、細内所長は、長野県から依頼されたコミュニティ・ビジネスの講演時に立ち上げ直後の彼らに長野市で会っている。
三昔前、信州新町の葬儀は各家庭で取り行うものから町の葬儀会館で行うものへと変化し、そして、さらに車社会の影響で30分ほどで行ける県庁所在地のバイパス沿いの大きな葬儀会館で取り行うものへと変化し、それに伴い人口5千人の町の葬儀事業は大きな葬儀会館へと吸収されてしまった。
自分たちの大切な葬儀を取り戻し、地域で葬儀が行えるようにと、商店街で葬儀の行える体制を整えたのである。これは、地域の経済(地域でお金が回る)も生活の決定権(地元で葬儀ができること)も地元に取り戻すという地域協業が、地域コミュニティを元気にして行くのである。
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町で取り行う葬儀は、その後、法事を伴い、リピーター客となり、近隣の寺院との連携も有効に働き、地域コミュニティが無くしてしまった葬儀という大切な生活行為の自己決定権を地域に取り戻すことにもつながり、合わせて商店街が失っていた1億円の売り上げが戻ってくることにつながる。
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すなわち地域住民も商店街も寺院も良しの三方良しだ。
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こうした地域の経済や生活に関わる自己決定権を取り戻すという行為が、もう一つの地域創生のキーワードなのだ。
*農山村地域における事例
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*経済循環によるメカニズムの概念図
*新しい経済活動と社会貢献活動の導入は地域自立の必須条件か?
☆商店街は住民の交流、生活の場
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